司法書士松永美里コラム

相続のこと



相続人がいない場合

相続人がいない場合、または相続人全員が相続放棄をして相続人がいなくなった場合、

その財産はどうなるのでしょう?

 

その場合、裁判所によって選任された「相続財産管理人」が、国庫に帰属させる(国のものになる)手続きを行います。

 

ただし、「総財産管理人」は自動的に選任される訳ではなく、その選任を必要とする人が裁判所に選任の申立てをすることによって選ばれます。

 

その選任を必要とする人とは、

 

・亡くなった方にお金を貸していた債権者

・相続人がいない建物の老朽化が進み、取り壊しを求める隣人

・相続人ではないけれど、これまで亡くなった方の面倒を看てきた方

 

などが一例です。

このような方たちは、相続財産管理人が選任されることによって

 

・相続財産の中から借金を返済してもらえる

・建物を取り壊してもらえる

・相続人ではないが、相続財産の一部をもらえる(かもしれない)

 

という利益があるからです。

 

相続登記をしていないから固定資産税は払わなくてもいい?

最近何度か質問されたこと。

 

「不動産の相続手続き(登記)をしていなければ、相続したことにならないから、固定資産税を払わなくてもいいのでは?」

 

答えは、「相続登記の有無に関係なく固定資産税は相続人が支払っていかなくてはなりません。」

相続登記をするかしないか、と固定資産税は全く別なのです。

 

相続というのは、被相続人の死亡と同時に開始するので相続登記の有無で相続人であるかどうかが左右されるものではありません。

お亡くなりになると同時に、相続人としての権利や義務が発生します。

 

固定資産税を課税する市町村は、相続登記がされていない場合、相続人が誰であるかを調査して、その代表者に対して固定資産税のお知らせを送付します。

 

登記の名義が変わっていないから相続人ではありません・・・という訳ではないのです。

 

長かった相続手続き

去年の5月に初めてご相談をいただいた相続の手続きがようやく完了しそうです。

 

相続人の一人が生後間もなく養子に出された方で、その方からなかなか印鑑がもらえないということで、時間がかかっていました。

 

不動産の相続手続きをする際は、通常は相続人全員が協議をして、遺産分割協議書という書面を作成します。その遺産分割協議書には相続人全員が実印を押印して印鑑証明書を添付しなければなりません。

 

その相続人には、今回のように小さい頃に養子に出された方ももちろん含まれます。

(ただし、特別養子縁組といって、実の親子関係が終了する養子縁組をした場合は、相続人にはなりません。)

 

今回のようなケースは、生前に遺言書を作成しておけば残された方が苦労することがなかったかもしれません。

相続財産管理人

今日は、受任している相続財産管理人の報告書を作成しています。

 

亡くなった方に相続人がいない場合(配偶者、子、孫、親、祖父母、兄弟姉妹、甥姪の誰もいない場合)又は相続人全員が相続放棄をした場合、その財産を一定の期間管理するのが相続財産管理人の仕事です。

 

相続財産管理人としての管理が終わってもなお財産が残っている場合は、残った財産を国に収めて終了となります。

 

では、相続人がいない方の財産は必ず国に帰属するのか?といえばそうではありません。

 

その方が生前に遺言書を作成しておけば、遺言書の通りに渡したい人に財産を渡すことが出来ます。

 

また、相続人がおらず遺言書が無かった場合でも、その方にご縁があった方や療養看護をしたなど特別な事情のあった方(特別縁故者といいます)は、裁判所に認められれば財産を受け取れる場合があります。

 

このような方法も考えられますが、やはり相続人がいらっしゃらない場合は生前に遺言書を遺しておくことをお勧めします。

家督相続

「家督相続」が発生している相続手続きのご依頼が続いています。

 

家督相続とは、「基本的には長男が家督相続人となり家の財産をすべて受け継ぐ」という制度で、明治31年7月16日に施行され、民法改正がなされる昭和22年5月2日の相続まで有効でした。

 

戸籍には家督相続が発生した旨が記載されており、その戸籍を見れは、誰が家督相続人であるかが分かります。そして、その戸籍をもって家督相続人への相続登記をすることができます。

 

相続は、発生した時期によって昔の法律が適用される場合があり、注意が必要です。

相続登記のご依頼ありがとうございます

今週は何件か相続登記のご依頼をいただいております。

ありがとうございます!

 

不思議と同じ手続きが重なる時は重なります。

 

相続登記と一口に言っても、内容は様々です。

戸籍を揃えて、遺産分割協議書を作成して、相続人の皆様に署名・押印いただいて、登記申請をして完了!!

と、スムーズに行くケースの方が少なく、何かと懸案事項があります。

 

何とか解決できるよう、日々奮闘中です。

相続登記を放置すると複雑になる場合があります

昨日ご依頼いただいた相続登記、時間が経って複雑になってしまった事案でした。

 

亡くなった方(Aさん)の相続人は、配偶者(Bさん)と子供(Cさん)です。

Aさんの相続登記をしないまま、Aさんの後にBさんが亡くなってしまいました。

 

Aさんの不動産の相続登記をしたいというご依頼だったのですが、相続人であるBさんが亡くなってしまって遺産分割協議ができないので、その場合、Bさんの相続人全員がAさんの遺産分割協議に参加しなければいけません。

 

Bさんの相続人といえば、Aさんとの子供であるCさんだけ・・・ではありませんでした。

戸籍を取得してみると、Bさんは再婚で、前夫との間に二人のお子さんがいらっしゃることが判明しました。そのお子さん二人もBさんの相続人となります。

 

そのため、Aさんの相続手続きをするために、Bさんの相続人全員(Cさん・前夫との子供2人)に署名・押印をいただかなくてはいけないのです。Cさんはお二人に会ったことがなく、連絡先も分かりませんでした。

 

もし、Aさんが亡くなってすぐに相続手続きをしていたら?

Bさん、Cさんの2名で簡単に手続きができたはずです。

 

相続登記を放置しておくと、手続きが複雑になってしまい、大変な時間と費用がかかってしまうことも考えられます。

 

相続登記は、なるべく早めに出来るうちに。

相続人の皆さんがお元気なうちに済ませてしまいましょう。

不動産の名義が先祖のままだったら?

ご相続の依頼をいただく中で、たくさんの不動産をお持ちの方がいらっしゃいます。

 

これまで一番多かったのは不動産が280個!

事務所が津幡町なので山林や畑、田をいくつも所有されている方が多くいらっしゃるのです。

 

その中で、たまに1つだけ、または数個だけご先祖の名義のままの不動産が残っている場合があります。相続手続きをした際に洩れていたのか、その他に事情があるのか分かりませんが。

 

その場合は、「ご先祖の相続手続き」からしなければいけません。

つまり、ご先祖の相続人(配偶者、子、子が亡くなっている場合は孫、ひ孫など)と連絡をとって印鑑をもらわないといけないことになります。

実際は、何人いるかも分からない、会ったこともない、費用をかけてまで・・・・ということで手続き自体を諦めてしまわれることもあります。

(昔の書類がある場合など、手続きが可能なこともありますので、諦める前に一度はご相談下さいね。)

 

時間が経てば経つほど、手続きが煩雑になる恐れがある相続。

相続人の皆さんがお元気で話し合いができるうちに、手続きを済ませてしまいましょう。

相続の相談

ご家族がお亡くなりになり、手続きをどうしたらいいのか全く分からない。

という場合は、是非一度ご相談下さい。

 

相続人は誰になるのか?相続財産をどうやって分けるのか?

どこでどのように手続きをしたらいいのか?相続税って?

 

など、ご相続に関することを一通りご説明させていただきます。

ご相談は無料です。

 

そして、当事務所でお手伝いさせていただけることがあれば、お見積もりをさせていただいた上、手続きに入らせていただきます。

 また、必要であれば、税理士や弁護士のご紹介もさせていただきます。

 

どうぞ、お気軽にご相談下さい。

不動産だけ相続放棄できる?

「相続する不動産は山や畑で、相続人の誰も欲しくないので放棄したいのですが。」

とのご相談をいただきました。

 

残念ながら、相続財産のうち、一部だけを選んで放棄することは出来ません。

 

「相続放棄」をすると、その相続について最初から相続人ではなかったということになりますので、不動産だけではなく銀行の預貯金等についても受け取ることができなくなります。

 

全部相続するか、全部相続しないか。のどちらかになります。

(限定承認という相続もありますが、それはまたいずれ)

 

市や国に寄付をしたい、という方も多いのですが、こちらも資産価値があるような不動産でなければ難しいようです。